効果的な展示会ブースの作り方 基本その5「出展テーマの設計とストーリー作り」


ただ「出展する」だけでは、来場者の心には届きません。
展示会ブースは、来場者にとっての“体験の場”であり、その体験には一貫したストーリーが必要です。
どんな価値を届けたいのか、どんな変化を起こしたいのか。
今回は「出展テーマ」と「ストーリー」の重要性と、その作り方を解説します。

① 「自社の都合」ではなく「顧客の変化」をテーマにする

展示会の出展テーマは、「新製品のお披露目」「導入事例の紹介」など、自社の都合から考えがちです。
もちろんそれも大事ですが、来場者にとって興味があるのは、“自分にどんな変化があるのか”です。

たとえば:

✕「最新版リリース」→ ◯「業務時間が30%削減される新たな提案」

✕「10周年の節目」→ ◯「10年間で磨き抜いた課題解決の知見をご紹介」

来場者が「これは自分に関係ある」「役に立ちそうだ」と思えるテーマ設計にしましょう。

② ブース内は「物語の進行」に合わせた導線を

ブースの中も、来場者が自然とテーマに沿った情報を得られるように設計しましょう。
つまり、ストーリーの流れに沿った導線づくりがカギです。

たとえば:

・【課題の提示ゾーン】…「こんな悩み、ありませんか?」と来場者の共感を呼ぶ

・【提案ゾーン】…それに対する自社の提案を紹介

・【証拠ゾーン】…導入事例やデモで裏付けを提供

・【対話ゾーン】…営業や技術担当との具体的な会話へ

このように構成すると、通路から見たときも、中に入った後も、「何を伝えたいか」が自然に伝わります。

③ キャッチコピーも「ストーリーの一部」

テーマとストーリーが定まれば、それを一言で表現するキャッチコピーが必要です。
ここでのポイントは、課題 × 解決 × 変化後の未来像が伝わること。

例:
「工数50%削減。現場がよろこぶDXの新定番。」
「紙もExcelも卒業。バックオフィスの未来、ここに。」

こうしたコピーを側面や入口の壁に掲げることで、遠くからでも「何を展示しているか」が一目で伝わります。

④ 出展者のトークも「物語」を語る意識で

展示会での会話は、ただのスペック説明では足りません。
製品の魅力だけでなく、「その製品がなぜ生まれたのか」「どういう課題を解決したいのか」といった「背景のストーリー」を語ることで、来場者の記憶に残ります。

まとめ

展示会ブースは、言わば「小さな劇場」です。

訪れた人に、課題の共感 → 解決の提案 → 明るい未来 という流れを体験してもらえるよう、出展テーマとストーリーを設計しましょう。

このストーリーが明確であるほど、名刺の質も上がり、展示会の成果も飛躍的に高まります。

次回は、「展示会における“展示しない選択”」についてのご紹介します。