リモート出展 試行錯誤のまとめ

こんにちは。インターネット展示会の酒井です。
弊社ではコロナ禍の初期から、出展者が展示会会場に来ずに、地元からリモートで展示会に出展するリモート出展の試行錯誤を行ってきました。

幕張で開かれた食品の展示会、第55回スーパーマーケット・トレードショー2021にて、手応えのある(きちんと商談が成立する)方法を実施できましたのでご紹介いたします。

リモート出展の方法は、最初の緊急事態宣言が終了した6月に実施した「PHASE」から検討がスタートしました。

この時点では、小型のブースにタブレットを置き、zoomで接続して、地元に居ながら東京でバイヤーと商談ができる、との仕様ででした。

運用構成は2種類用意しました。

1つ目は、事前に取材した動画を画面に流しておき、商談したいと思ったバイヤーが画面をタッチするとzoomの接続画面が現れるというもの。
バイヤーは展示品の現物を確認して、映像で商品の説明を聞き、zoomで接続して個別の商談を行うというフローの想定です。
来場したバイヤーは、web会議では分からなかった実物の質感等を確かめることができ、必要に応じて直接その場で問い合わせができます。
通常時流れている取材映像には、zoomで対応する担当者が出演しており、zoomで接続したら対応して貰える人が予め分かるようにしておきました。
制作した動画はこちら。

2つ目は、常時接続です。
常時接続の場合、担当者が端末に張り付いていないといけないので、負担になると考えていました。
しかしながら、実際に展示会に出展するなら張り付きで対応するのは通常のことであるとの認識をお持ちであったこと、そして、いちばん大切なことですが、なんとしてでもお客さんを掴みたい、お客さんの話を聞きたいとの考えから常時接続を選択される方もいらっしゃいました。
当時は、展示台に近づいていくと、タブレット端末から「こんにちは~!!」と声をかけられるとぎょっとする方も多く、「これ、動画じゃなく、つながっているんですか??」と現場スタッフに聞かれる方も。
1つ目の方法において、「わざわざ接続ボタンを押すハードル」を下げる効果は有りましたが、「近づくと声をかけられる」ことに対するマイナスの反応もあると感じました。

これら2つの方法を実施し、改善点も浮かんで来ましたので、それらを改善したバージョンも実験していきました。

・テレビ会議用スピーカーの利用
声が聞きづらいとの指摘があり、明瞭に聞こえるよう、外付けスピーカーを採用しました。無線で運用できますが、バッテリーが1日持ちませんので電源につないだほうが良いです。eMeet社のものを採用しました。音声の送り、受けともに改善され、よく聞こえるようになりました。

・イヤホンマイク
スピーカーを使うと、会話が他人に丸聞こえになってしまいます。
こっそり教えたい内容も、通行人によーく聞こえるようになってしまいます。
ビジネス用の商談会ですので、そのようなことの無いよう、イヤホンマイクを準備。ダイソーで調達、商談希望者にプレゼントし、利用後は持ち帰っていただきました。新品を利用し、使いまわし無しです。
1日20人としても3日で60本、6千円程度で対応可能です。
こちらも手軽で、よく聞こえる安定的な運用が可能でした。

片耳タイプのイヤホンマイク。4極対応です。

 

・ノートパソコン
1台の端末で、接続先を複数扱いたいという場合に対応するため、オーソドックスなノートパソコンを採用しました。
こちらは海外パビリオンで利用され、一人のバイヤーが、複数のメーカーに商談を申し込む際に便利です。
席に座り、腰を据えて多数の交渉を行う、というスタイルです。
それ以外の場合ですと、ノートパソコンはシンプルなスタイルですが、ちょっとだけ聞きたい場合のような軽い要件の場合、「わざわざパソコンで行う」という印象のハードルが上がる重い感じになってしまいます。パソコンの盗難防止の面もあり、壁で囲った「リモート商談コーナー」を設置したケースでも、あまり利用は進んでいませんでした。(「担当者とつなぎますから、こちらのコーナーへどうぞ」と言われても「いや、そこまでではないので・・」となりやすい)

・タブレット2台使い
タブレットを2台使い、1台は動画の再生、1台はzoom接続端末と切り分けたバージョンです。
機能別なので、ユーザーの認識がしやすく、「つなぎたいんだけど、どうすればいいの?」という事がなくなりました。
機器が独立しているため、場合によっては接続して話をしている時に、動画の音量を止める・下げる操作が必要になります。

これらの運営を行っている際に、やはり接続先の人物のプレゼンスの低さが気になってきました。
小さい画面の中にいる人、という捉え方で、どうしても存在感が少ないのです。
弊社では無いのですが、24インチディスプレイを縦に設置し、そのディスプレイの上半分にzoomを映すという試みをされている出展者もいらっしゃいました。
zoomの人物と、視点の高さを合わせるためです。
話し始めると、とても楽に話すことができますが、いかんせん、接続ボタンが押しにくい。わざわざ繋げなくても・・という心理が働いてしまうのです。

そして2月、緊急事態宣言の延長が決定され、地方から参加予定だった出展者さんが多数、上京できないという状況になりました。
このまま出展中止は避けたいとのパビリオンの主催者さんの考えから、「大型モニタによる常時接続」の形態が急遽決定しました。

当時利用した説明用チラシ

こちらは、上記の経験から、商談になりにくいというリモート出展のデメリットを解消したいということで組み立ててきました。

モニターは大型モニターを利用し、ひとの存在感を与え、モニターのスピーカーを利用することで、十分な音量と、かんたんな操作性を備えました。聞こえなかったらリモコンで音量上げる、大きすぎたら下げればよいだけです。
そして接続方法は、zoomによる常時接続といたしました。繋ぎっぱなしにして、席を外すときは「只今席を外しております」という案内の紙を写してもらいます。これも出展者さんにはかんたんにできる方法ですね。

そしてもう一つ、大事なことは、現場に声掛けをするサポートの人員を配置しておくこと。
来場者さんが陳列されている商品の現物に興味を持って立ち止まった時、一言にまとめたキャッチフレーズを言って、メーカーさんにつないであげるのです。
「その製品は〇〇県でしか取れない〇〇をつかったレアな味噌なんですよ。」と特徴を述べて興味を引き、「斎藤さん、〇〇の説明お願いできますか~」と、zoomの中のメーカーさんにつなぐ。
そうすると、メーカーさんが自然に商品紹介に繋げられるのです。
現場担当は、一通り話がはずんだら、サンプルの現品を渡したり、「お名刺よろしいでしょうか?」の一言を添えることで、結果の数字を残し、次に繋げることができます。
現場担当は、商品の全方位の知識を必要としていません。特徴をいくつか頭に入れておくだけで良い。また、一人で複数の出展者を担当することもできます。来場者とメーカーさんとの会話が始まったら、他のブースでまた「きっかけづくり」をすれば良いのですから(それと会話が終わって立ち去る方に「お名刺よろしいですか」の声掛け)。

 

席を外した状態。担当者さんはこの画面の写っている範囲の横にいて、声をかけたら画面に入ってくるというアナログな運用方法です。

この方法で、採用されたパビリオンでは大きな成果を得られました。名刺獲得を目的としていなかったにも関わらず(じっくり話をされた方のみ頂いた)、1日20枚、3日間の会期で60枚の商談を行うことができました。
地元で担当された方は、ほぼ話しっぱなしとなり、事前の想定ではこのくらい来るとは思っておらず、zoom担当者を1名しかアサインしておりませんでしたので、疲労困憊とのことでした。交代交代で対応されるのも良いかもしれません。

この方法は、地元に居ながら多地点での展示会参加を可能とするものであり(今週東京、来週大阪、再来週福岡など)、以後普及していくと思われます。(なお、2021年のスーパーマーケット・トレードショーでは、他社で同様なことを行っているところは有りませんでした。自治体パビリオンごと出展中止となってカーペットだけ敷いてあったり、モノだけおいてある無人展示など、もったいないですし、来場者も見るものが少なくなる悪循環となります。)

出展者が来れず商品だけ展示となった高知県ブースの看板

時差の問題もありますが、海外の展示会でも使えますね。zoomの参加者に通訳さんを入れても良いですし。

ネットワーク構成どうするのとか、オンライン会議ソフトどれがいいの?(ライセンス?費用?)とか、現地で「不明なエラー」が出た際の対応、そして忘れてはならないのが使う人のzoomリテラシーどうするのなど、弊社では様々なハードルを支援いたします。
(弊社で一番時間をかけているのが事前準備、つまりzoomの使い方、商談の仕方なのです)

ブース施工がお決まりでない場合、ブースデザインに落とし込んだご提案を行う施工会社のご紹介も可能です。もちろん、展示会の外にいる見込み客にアピールできる展示会動画もぜひご検討ください。まずは下記お問い合わせにてご一報ください。

Top