モニターで来場者が気になる言葉、絵を見せる。瞬間的に捕まえる。
展示会の通路を歩いている来場者は、1秒でも早く「次の発見」を探しています。
その視界の中で、あなたのブースが目に留まる時間は――ほんの数秒。
つまり、その一瞬で“興味を奪う”ことができるかどうかが勝負です。
多くの企業がブースにモニターを設置していますが、映像がただ流れているだけでは、来場者の足は止まりません。
何を流すかではなく、最初の数秒で何を「見せるか」がすべてです。
通路を歩く人の目に飛び込むのは、音よりも「言葉」と「絵」です。
遠くからでも読める大きな文字。思わず見入ってしまうシンプルなビジュアル。
その組み合わせが、「ん? なんだろう?」という“反射的な興味”を生みます。
キャッチコピーは長文ではなく、「5文字〜10文字以内」が理想です。
たとえば、
「10倍長持ち」「たった1分で」「音がしない機械」「海外でも人気」「世界初」「AIが検出」。
こうした“数字”や“限定性”のある言葉は、人の注意を瞬時に引き寄せます。
そして、その言葉とセットで「視覚的な答え」を見せましょう。
たとえば、
(1)「たった1分で」と表示した瞬間に、実際に製品が変化する映像を流す。
(2)「音がしない」と出したあとに、無音で動く映像を見せる。
(3)「AIが検出」と表示し、画面上で自動判定の瞬間をズームインで映す。
このように、“文字→映像”の連動があると、脳が「理解したい!」と反応します。
重要なのは、「情報を伝える」ことではなく、“感情を動かす”ことです。
来場者は理屈では動きません。まずは感覚的に「おもしろそう」「すごい」「綺麗」と感じてもらう。
その「0.5秒の驚き」が、立ち止まるきっかけになります。
映像の最初の3秒は“展示会のキャッチコピー”。
言葉を詰め込まず、印象的なワンカットに集中する。
製品全体を見せるよりも、「部分のアップ」や「結果の瞬間」を見せるほうが効果的です。
たとえば食品展示なら「湯気」「カット断面」「口に入れる瞬間」。
機械展示なら「動き出す瞬間」「完成品の輝き」「人の驚いた表情」。
このように“感情が動くシーン”を映すと、記憶に残ります。
また、映像のテンポも大切です。
展示会では観客が映像の途中から見ることが多いため、いつ見ても完結している構成が理想です。
5秒ごとに意味が通じるカット、ループしても違和感のない編集。
“いつ見ても最初の3秒”という設計が、プロの展示映像です。
そして映像の後半には、来場者の「次の行動」を促す一言を入れましょう。
たとえば、
「詳しくはスタッフへ」「実機はこちら」「無料で体験できます」など。
目を奪ったあと、そのまま会話につなげる「導線の言葉」が必要です。
つまり、展示会のモニター映像とは、広告でもプレゼンでもなく、瞬間芸術に近いものです。
長く語らず、深く印象づける。
言葉と絵を連動させ、感情を動かす。
来場者の視界の中で、ほんの一瞬でも「止まる理由」をつくる。
それが、“瞬間的に捕まえる”モニター活用の本質です。
展示会は、通り過ぎる人を惹きつける「視覚の戦場」。
あなたのブースのモニターが、ただの装飾から「興味を奪うトリガー」に変わった瞬間、
その映像は営業ツールを超えた「来場者を動かす装置」になります。
次の展示会では、まず“1秒で伝わる言葉”と“1枚で引き込む絵”を考えるところから始めてみてください。
ブースが生まれ変わるのは、その「最初の一瞬」からです。