展示会で名刺を集めることが重要視されがちですが、単に数を追い求めるだけでは、長期的に見ると効果的なマーケティング活動にはなりません。
質の高いリードを獲得することに焦点を当てると、展示会のブース設計そのものにも大きな変化が現れます。
ここでは、名刺獲得の「質」にこだわることで、ブースの設計がどのように変わるかを探ります。
1. ターゲットに焦点を当てたブース設計
名刺獲得を数で競うのではなく、質を重視するとなると、ブースの設計は来場者が自社にとって有益なリードであるかどうかを素早く見分けるための要素が強く求められます。
質の高いリードを引き寄せるためには、まずターゲットとなる顧客層がどのような情報や体験を求めているのかを把握し、それに基づいたブースデザインが必要です。
・ターゲットのニーズに合わせたコンテンツ展示:
自社の製品やサービスが解決できる具体的な課題を前面に押し出し、ターゲットにとって興味深く、共感を呼び起こすコンテンツを用意します。
例えば、特定の業界向けのカスタマイズされたデモンストレーションや、事例紹介を中心にした展示を行うと、質の高いリードを引き寄せやすくなります。
・ターゲット層に合わせたスタッフ配置:
特定のニーズを持ったターゲットに適切に対応するため、ブース内でのスタッフの役割分担が重要です。営業担当者は、専門知識を持つ製品担当者や技術担当者と連携し、来場者のニーズを的確に把握し、質の高いリードを引き寄せることができます。
2. ターゲットをふるい分けるブース構成
質の高いリードを獲得するということは、質の低いリードを獲得しない、ということと同義となります。質の低い、製品には興味のないリードにどう対処するかをブースデザインに落とし込みます。
・強力な意図を持った人しか入れないようにする
高級なお店にはドアマンが居て、ドアを開けてくれますよね。これは別にその店を見たいわけではない人にとっては、ちょっとした障壁となります。「いらっしゃいませ」と笑顔をくれることに対して、自分が答えることができないと言う心理からです。
例えば、展示会ブースでも、入口を狭めにし、「いらっしゃいませ」と言う人を立てておくことで、これらの心理的障壁をデザインすることができます。
・入るためにアクションが必要になるようデザインする
例えば、ブース全体が10cmぐらいの床上げになっており、入るためには足を上げて入らないといけないような作りになっていた場合、入るのに勇気が必要な雰囲気を作ることができます。日本では少ないのですが、海外ではよく見られる作りです。入っている人が、ステージに上ったように特別感を感じることも設計のうちです。
ご注意、入るときに足を引っ掛けないように。(日本であまり見ないのはこの理由ですね)
3. 質を重視したインタラクションとアプローチ
名刺を集めるのではなく、質の高いリードを獲得するためには、来場者とどのように接するかが非常に重要です。
単なる挨拶やチラシの配布では、来場者の関心を引きつけることができません。質を重視するアプローチでは、来場者とのインタラクションをしっかりと設計することが求められます。
・インタラクティブな体験を提供:
例えば、製品を実際に触れて体験できるコーナーを設けたり、技術的なデモンストレーションを行ったりすることで、来場者が実際に自社製品を使ってみる体験を通じて関心を高めてもらいます。
体験することで、リードの関心度が高まるだけでなく、質の高い顧客に出会える可能性が高くなります。
・適切な質問をする:
ただ自社製品を紹介するのではなく、来場者に対して「どのような課題を抱えているのか」「現在の解決方法に満足しているのか」といった具体的な質問を投げかけ、そのニーズに対して自社の製品がどのように役立つかを説明します。
このアプローチにより、名刺交換をした後のフォローアップがスムーズに進みます。
4. 質の高いリードに特化したフォローアップの準備
名刺獲得後のフォローアップが重要であることは言うまでもありませんが、質の高いリードを獲得することを目指す場合、その後の接触方法も重要な要素となります。
ブース設計時点で、フォローアップのプロセスをしっかりと構築しておくことが求められます。
・リード分類の仕組みを設ける:
展示会のブースで出会った来場者をすぐに名刺交換だけで終わらせず、事前に「興味がある製品を選んでもらう」「問題解決のヒントとなるコンテンツを提案する」などの仕組みを設け、リードの質を見極めることが重要です。
その後、リードの見込み度に合わせて、個別にパーソナライズされたフォローアップを行うことができます。
・フォローアップ専用のコンテンツの用意:
質の高いリードを獲得した場合、その後に送るフォローアップメールや資料が特に重要です。
展示会に合わせて、参加者向けの限定資料や、特別なオファーを事前に準備しておくことで、リードの興味をさらに引き続き維持し、商談に繋げやすくなります。
まとめ:ブースの設計における質の重要性
質を重視した展示会ブース設計は、単に見た目を飾ることだけでなく、来場者の目的に合ったコンテンツと体験を提供することが肝心です。
展示会に来るリードが今すぐに商談をするわけではなく、将来的に購入を検討する段階に至るまでのプロセスをしっかりとサポートする仕組みを組み込んでおく必要があります。
名刺の「数」ではなく、「質」に注力することが、最終的な成功へと繋がるのです。
ブースの設計や展示物において質の高いリードを獲得するための工夫を凝らし、その後のフォローアップに活かすことが、展示会を最大限に活用する鍵となります。
展示会の出展は、会場だけで終わらせてはいけません。なぜなら、見込み客は会場の中だけに居るわけではないからです。展示会を動画化しオンラインで活用する「展示会動画マーケティング」はこちらのページへどうぞ。