展示会というと、つい「とにかくたくさん展示する」ことに意識が向きがちです。
カタログ、パネル、サンプル、デモ機……とにかく詰め込む。けれど、本当にそれが来場者にとって価値ある空間になっているでしょうか?
実は、“展示しない”という選択が、より強い訴求を生むこともあるのです。
今回は、あえて“展示しすぎない”という視点から、ブース作りの考え方を掘り下げます。
① 情報の「洪水」より「選択と集中」
来場者は、限られた時間で何十、何百ものブースを回ります。
そんな中で、情報量が多すぎるブースは、逆に「よく分からない」「覚えていない」といった印象になってしまうリスクがあります。
たとえば、10製品を一度に展示してすべてを語るよりも、1つに絞って徹底的に伝える方が、来場者の記憶に残りやすいのです。
② 展示しないことで「話を聞きたくなる空間」に
あえて展示物を少なくしたり、説明パネルを最小限に抑えたりすることで、「これは何だろう?」と興味を引くことができます。
ブースの一部を「聞かないと分からない」構造にすることで、会話のきっかけが生まれます。
たとえば:
・パネルに「課題:〇〇を抱えていませんか?」だけ書いておく
・製品名や価格を出さず、「詳しくはお声がけください」としておく
・映像やサンプルをあえて“見せすぎない”
これにより、来場者が自分から話しかけてくれる確率が上がります。
③ 展示しないことで「空間の余白」を生む
ブースに余白があると、それだけで洗練された印象を与えます。
また、スペースに余裕があることで、来場者が立ち止まりやすくなり、営業スタッフとの会話も自然に発生します。
狭くぎゅうぎゅうに詰まったブースよりも、余白のある空間の方が、「入ってみようかな」と思わせる力があるのです。
④ 「展示しない」ことがブランド体験につながる
たとえば、Appleのようなブランドが展示会に出展したら、製品のスペックや価格を細かく並べるでしょうか?
おそらくしないでしょう。
ブランドの世界観や価値観を体験してもらう空間をつくるはずです。
あなたの会社が届けたい価値や世界観も、「見せる」より「感じさせる」方が伝わることもあります。
まとめ
展示会ブース=「とにかくたくさん並べる場所」という固定観念を、一度捨ててみましょう。
本当に伝えたいものを、どうすれば伝わるか。
その視点から考えたとき、「あえて展示しない」という戦略が、来場者の記憶に残るブースをつくる大きな武器になります。
次回は、「展示会の後が本番!名刺フォローと育成設計」について深掘りしていきます。