あらゆる事業活動は投資。目指すべきリターンをしっかりと想定したうえで展示会へ投資するべき


企業が展示会に出展する際、単なる「販促活動」として捉えるのではなく、「投資」として戦略的に考えることが重要です。展示会の出展には、ブースの設計・施工、広告宣伝、人件費、ノベルティ制作など、多くのコストが発生します。そのため、どのようなリターンを得るのかを明確にし、適切な投資判断を行う必要があります。

1. 展示会出展のリターンを定義する

展示会で得られるリターンは、単に「名刺の獲得数」だけではありません。リードの質、商談の進展、新規市場の開拓、既存顧客との関係強化、ブランド認知度の向上など、多岐にわたります。出展目的を明確にし、それに合ったKPI(重要業績評価指標)を設定することが大切です。

例えば、
– 新規リードの獲得:名刺獲得数ではなく、BANT情報(Budget=予算、Authority=決裁権、Need=ニーズ、Timeline=導入時期)を考慮し、質の高いリードを確保する。
– 商談進捗の加速:展示会での対面商談を通じて、営業プロセスを短縮する。
– ブランド認知度の向上:業界内でのプレゼンスを高め、将来的なビジネスチャンスを広げる。

2. 投資対効果(ROI)を事前に試算する

展示会への投資が適切であるかを判断するために、投資対効果(ROI:Return on Investment)を試算することが重要です。ROIを計算する基本式は以下の通りです。

ROI = (展示会経由で得られた利益 – 展示会出展コスト) / {展示会出展コスト}

例えば、展示会出展コストが500万円で、展示会を通じた新規案件の成約により1,500万円の利益が得られた場合、ROIは200%となります。

また、ROIの試算には以下の要素を考慮するべきです。
– 1件あたりの商談成約率(過去の展示会データを参考にする)
– 顧客生涯価値(LTV:Lifetime Value)(獲得した顧客が生涯でどの程度の収益をもたらすか)
– 商談のリードタイム(展示会で得たリードが成約に至るまでの期間)

3. 展示会出展戦略をデータドリブンで考える

投資として展示会を活用するためには、「データドリブンな意思決定」が求められます。過去の展示会の成果を分析し、どのターゲット層が最もLTVが高いのか、どのブース設計や施策が効果的だったのかを数値で把握することが重要です。

具体的には、
– 展示会後のリードフォローの成約率を分析し、どの施策が最も効果的だったかを評価する。
– 商談に至らなかったリードの理由を記録し、次回のターゲティングに活かす。
– 競合他社のブースや施策を調査し、自社と比較して強化すべきポイントを洗い出す。

4. 「費用対効果の高い展示会選定」も重要

すべての展示会が同じリターンを生むわけではありません。業界特化型の展示会、来場者層が明確な展示会、大規模な国際展示会など、それぞれ特性が異なります。出展する展示会を選定する際には、過去の出展結果や他社の成功事例を基に検討することが必要です。

また、「出展エリアの選定」もROIに影響を与えます。ブースの場所によって集客数が大きく異なるため、費用対効果を考えた上で最適なスペースを確保することが重要です。

5. 展示会を「単発イベント」にしない

展示会は単発のイベントではなく、中長期的な営業戦略の一環として活用するべきです。展示会後のフォローアップを徹底し、獲得したリードを確実に案件化する体制を整えることが求められます。

展示会終了後、
– 即座にリードの優先順位を決定し、フォロー体制を確立する
– 展示会で得たデータをCRMに入力し、次回以降の施策に活用する
– 商談プロセスを可視化し、定期的に進捗をチェックする

こうしたプロセスを確立することで、展示会出展が「一過性のイベント」ではなく、「継続的なビジネス成長の投資」として最大限の価値を発揮します。


まとめ

展示会出展は「投資」であり、明確なリターンを想定して戦略的に活用することが重要です。ROIの計算、データドリブンな意思決定、最適な展示会の選定、そして継続的なフォローアップによって、展示会を最大限に活かすことができます。単なるコストとしてではなく、長期的な視点での事業成長の一環として展示会を捉え、効果的な投資判断を行いましょう。

展示会レポートを受け取りませんか?最新の出展製品情報をお届けします。