IT系展示会における「インバウンド設計」の重要性

IT系の展示会では、従来の手法である「通路側に担当者が並び、道行く人を片っ端から声を掛ける」アプローチを再考する必要があります。
確かに、過去にはそのような積極的な声掛けがリードを獲得する方法として使われてきましたが、現代の展示会で求められているのは、来場者に「自ら進んでブースに足を運んでもらう」という「インバウンド型のアプローチ」です。

来場者が自主的にブースに入るように誘引し、その後のエンゲージメントを高めるためには、ブースの設計に工夫が必要です。
今回は、IT系展示会でインバウンドアプローチを成功させるための方法を考察していきます。

1. 来場者の防御的態度を理解する

展示会に訪れる来場者は、多くの場合、情報収集や自社にとって価値のある製品やサービスを見つけることを目的にしています。
ですが、道行くブースで急に声を掛けられると、無意識のうちに警戒心を抱くことが一般的です。
IT系の展示会では、特に製品やサービスの専門性が高いため、来場者はより慎重に情報を得ようとする傾向があります。

そのため、「通路側に並んで声を掛ける」というアクションは、来場者にとって「売り込まれる」というプレッシャーを与え、逆にブースへの足を運ぶことを避けてしまう原因になります。


2. インバウンド型のブース設計

「インバウンド型」の展示会ブース設計では、来場者が自然にブースに興味を持ち、近づいてくれるような仕掛けを用意することが必要です。
そのためのポイントは次の通りです。

・明確な価値を伝える:
来場者がブースに近づきたくなるような魅力的なメッセージを掲示します。製品やサービスがもたらす「メリット」を一目で理解できるようにすることが重要です。例えば、「次世代のITソリューションで業務効率化」や「特定の業界に最適化された製品」など、来場者が自分にとって有益だと感じる情報を提供します。

・視覚的に引き付ける要素を取り入れる:
大きなディスプレイやインタラクティブなデモ、目を引くデザインなど、視覚的に魅力的な要素を取り入れて、来場者の目を引きます。IT系の展示では、最新技術やサービスのデモンストレーションが非常に効果的です。

・ストーリーテリング:
ただ製品を紹介するだけでなく、「この技術がどのようにして課題を解決するのか」というストーリーを展開することで、来場者の関心を引きます。来場者は製品の機能よりも、「自分の業務にどれだけ役立つか」を重視しているので、その点を強調したアプローチが有効です。


3. 質の高い来場者の誘引

ブースデザインだけでなく、展示内容を来場者がどのように体験するかを考慮することも重要です。
質の高い来場者を引き寄せるためには、次のような方法が考えられます。

・ターゲット層を意識したコンテンツ:
IT系製品やサービスは、特定の業種や職種に特化している場合が多いため、ターゲットとなる業界や職務に合ったコンテンツを提供することが重要です。ブース内でその業界向けのケーススタディや導入事例を紹介し、来場者が「自分の課題に対して解決策を見つけられる」と感じるようにします。

・体験型デモンストレーション:
単に製品を見せるだけではなく、来場者が実際に体験できるインタラクティブなデモンストレーションを行うことで、製品の魅力を伝えることができます。IT系の場合、ソフトウェアやアプリケーションの実演が特に効果的です。

・専門的なアドバイザーやスタッフの配置:
質の高い来場者には、彼らが抱える問題に対して深い知識と理解を持つスタッフが対応することが重要です。専門的なアドバイザーがブース内にいることで、来場者は安心して相談できると感じ、積極的にエンゲージメントを取ろうとします。


4. エンゲージメントを高める

来場者がブースに足を運んだ後、そのエンゲージメントを高めることが重要です。
これには、来場者との会話を深めることや、後のフォローアップ活動をうまく活用することが含まれます。

・エンゲージメントを強めるフォローアップ:
可能であれば、展示会で話をした担当者が、展示会終了後の即時フォローアップを実施するのが非常に効果的です。来場者がブースに来た時点で、その人に関連する情報をしっかりと記録し、展示会後にパーソナライズされたフォローをすることで、つながりを深め、関心を持ち続けてもらうことができます。

・プレゼントやノベルティの活用:
来場者に有益な情報や特典を提供することで、後のエンゲージメントを促進することができます。また、長く使ってもらえるようなノベルティ(目新しいアイテムや使える商品)を提供し、接触を持続しその後のアクションへと誘導できるようにすることが重要です。


5. まとめ: 未来の顧客をインバウンド型展示会で

IT系展示会では、来場者が自分からブースに足を運んでくれるような環境を整え、その後のエンゲージメントを大切にすることが、長期的な顧客獲得に繋がります。
「声掛け」で来場者を引き寄せるのではなく、ブースデザインやコンテンツによって、質の高いリードを自然に集めることを目指しましょう。


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