CLAMPの考え方(3)-ブースを立体的にする

展示会出展サポート歴20年を超える、株式会社CLAMP(クランプ)の冨永社長に、展示会ブースの造り方を聞きました。

イタリアのある建築家は、家をデザインをして建てたら何週間か一緒に住むんですって。自分がデザインして自分に頼んだからには、自分のデザインを気に入って頼んでくれたんでしょ、だからその使い方を伝授します、と。

お金をかけて、いいデザインをして住みやすい家を建てても、ごちゃごちゃな置き方をされたら台無しになっちゃう。僕の作ったデザインはこういう生活をしてくださいっていうアドバイスをする。

僕たちはそこまでは言わないけど。

せっかくデザインしたブースで、お客さんが入りやすいように設計しているのに、当日来た営業担当者がその通路に立ってしまうと、障壁になって台無しになってしまう。

だから当日朝などに観察して、あなた達はまずは知らん顔してこっちに立って、というようなアドバイスをしている。そういうのも全部合わさっての立体的なものっていう考え方、ほんとの立体化って言うことだと思います。

売り方によっては、あまりカタログを渡さなくても伝えられるよって言うことなら、カタログスタンドもいらないということになるし、受付も名刺交換するだけなら、ちゃんとした受付台作らなくてもいいですよね、となる。

一緒にお客さんと話して、ディスカッションをちゃんとしていれば、受付台もしかしたらいらないですね、ストックルームも展示台の中に入れられる量ならストックルームいらないんじゃないですかね、とできる。

でも、それありきで話しちゃうと、平面的に収めよう収めようってなっちゃう。だから面白くなくなっちゃう。

ライバルが居るんだったら、他と違うことをやろうとか、あちらも思うんだろうから、今までのマニュアルどおりにやっていたら差がつかない。どんぐりの背比べから脱せないんです。何かしら違うこと、新しいことを考えないと。

デザインとかも、学校で習ってきたことそのままデザインするなんてのは、あまりいいデザインでなかったりする。クリエイティブっていうものは、料理にしても、デザイン・グラフィックにしてもなんでも、今までの経験がモノを言うわけですよね。

いろんなきれいだとかかっこいものとかを、色んなところで見てきて、それを情報として頭の中に蓄えて、それを自分なりに引き出した形にする。

それは学校で勉強したらできることじゃない。料理もそう。美味しいものを食べたことのないひとに、創作料理作れっていっても、作れない。いろんな美味しいところのセンスある料理を食べてきて、この料理って何と何が合わさってこんな料理になるのかなって、色々研究したり味で覚えたりして、初めて自分で作れるようになる。

意外と勘だとか場数だとか、そういうの大事だよね。そういうのって蓄積だよね。情報の蓄積。自分も20年以上やってきて、ずーっと見てきて勘みたいなのがあって、こんな感じじゃない?とかが、意外とあたったり、フィットしたりする。計画的じゃなく、感覚的な感じ。人間的な感じなんだよね。

人間なくして、いい空間は作れないんです。ブースもすごい簡易的だけど、そこをおろそかにしたらいいブースにならない。どれだけ相手のことが読めるかわからないけど、コミュニケーションを多くしたらそのぶんわかる。

世の中には、コミュニケーションをするための空間づくり、みたいな考え方もあるかもしれないけど、逆側、コミュニケーションから生まれるデザインという考え方もあるはずだと思う。

CLAMPの考え方(1)-ブースをどう造るのか

CLAMPの考え方(2)-かっこいいブース?

CLAMPの考え方(3)-ブースを立体的にする

CLAMPの考え方(4)-ブースの空気感とは