展示会出展サポート歴20年を超える、株式会社CLAMP(クランプ)の冨永社長に、ブースの造り方を聞きました。
まずは、ダメな施工会社から教えましょう。
ダメな施工会社は、平面図がきれいに書けるような質問をしてくる。「今回は何を出展されますか?」の裏には、「展示台のサイズはどのくらい取ればよいですか」とか「ポスターは何枚貼りますか」とか「ストックルームはどのくらい取っておけばいいですか」など、平面図に落とし込むための質問がある。それはそれで効率的なんだけど、出来上がったものは平面的になる。
例えば、食べもので言うなら、日本食は素材を楽しむじゃないですか。口の中で混ざり合って、美味しい料理だなって思うのが日本料理で、ヨーロッパなどは最初から計画的に混ぜ込みにしてあって、フラットというか平面的。編みだす力、縦の糸と横の糸で組み合わさってブースが立体的に組み上がるほうが自然な感じがする。
最初から平面的に考えて、それに縦をつけるだけの立体もあるけど、素材の縦横高さの組み合わせで、色々なテイストが混ざり合って一つの空間が出来上がるような、日本食に近いような感じのブースが面白いブースなんです。
そのためにまず、担当者が思う商品の良さから聞いていきます。そこから聞かないとブースができないと思っているから。つまり、商品を中心とした環境づくり、それがブースなんだと思っている。
商品をどう良く見せるかっていうことが中心。だから展示台のサイズ聞いてもしょうがないでしょう。お客さんが持ってきた今日イチオシの商品をどうアピールしたいかを聞いて、ライトの位置はこのあたりから、台の高さはこのくらいにして、みんながいい位置の目線で見えるように図面に配置する。
ものは喋ってくれないから、どういうふうなものを使って伝えるかを考えていく。壁面を使ってやりましょうか、人を使ってしゃべりましょうか、映像を使ってみせましょうか…そういうところから入っていって、見せたい商品、これイチオシを配置する。
まずはこれだけ出したいんだよね、っていうプライオリティなしで展示台に出しちゃったら、ここのメーカーは何を皆に見せたいのかわからなくなっちゃう。それから見極めていって、お客さんはこれを見せたいんですよね?アピールしたいんですよね?と整理整頓していかないといけない。
社名で売れる会社は社名を出せばいい。それで人をつれる。中小はそうじゃないから商品でアピールしなきゃいけない。だから、数ある商品のなかでも、一番お客さんが見てくれる商品を選びましょうよ、と。それを前に持ってくれば、表と裏ができちゃうけれども、みんなを平均で見せるよりもメリハリができる。
だから私はまずお客さんの商品を見たい。見る力が必要だから。ただただ見るといっても観察の「観」の「みる」。それを見ることによって私達が伝えるべきことがわかってくる。こう伝えたら、お客さんに伝わるかなと、伝える選択肢が決まる。
商品の良さを伝えるために、必ず聞くのは、「ライバルの会社の製品とどう違うんですか」というところ。ライバルと同じことを言っていたら平坦になってしまうし、違いが絶対それぞれある。
あえて第三者の視点で聞くんです。僕らこんなところ凄いんだよ、と思っていても、意外とそこじゃなくて、自分たちでわかっているようでわかっていない場合が多い。
お客さんが求めているところは、ここなんじゃないですか?っていうのは、あえて第三者の目で見ないとわからない、見えていないことがある。それを探り出すところからしている。
そのへんをうまく整理整頓して、僕らは、一般の人は、来場者はこう思うと思うのですけどどうでしょう、と、ディスカッションをしていく。これで行きましょうかっていうのをキャッチとして出すとか。言葉よりも絵のほうが伝わるなら、写真とかでひと目で、お客さんとのマッチングを図る。
イメージって、すっと伝わりやすい。けど、意外と日本人でやっているところは少ない。言葉を並べてしまう。
この薬を飲んだらこんなに健康になるっていうんだったら、効能よりもアフターを連想させて、こんなに快適に歩けて〜っていう写真のシーンを見せるとか。そのほうがお客さんに刺さるし、良くなる連想ができたりする。
絵の表現は言葉よりも早い。短時間で、1秒2秒で伝えられる。でも、それは環境によって絵じゃないかもしれない。マイク使ってやる方法もあるし、いろんな方法がある。今まで展示会では、展示方法のメインは、「置いておくだけ」だった。クランプはものを伝える力を強めるいろんな方法を展示物にあわせてとりたいと考えている。
それが縦横合わさった、いい雰囲気のブース、なんだよね。